蓄音機広場

蓄音機のこと

 蓄音機の素晴らしい音を多くの人に知ってもらいたいと常々思い続けています。思い起こせば、私が中学生の頃よりのめりこんだオーディオの世界は現在の蓄音機へ進む原点でした。当時は、よりきれいな音、雑音の無い澄んだ音をひたすら追い求めたように思います。


 蓄音機を骨董品の一つだと思っている人が余りにも多いのに、驚きます。蓄音機の音はカン高い鑑賞に堪える事が出来ないものと思われていることがとても残念です。蓄音機が作られ、愛用されていた時代は家庭にアーティストがやってくるかのような楽しみ方をしていたようです。また、ダンスの伴奏として蓄音機が大いに活躍していました。HMV194などの大型蓄音機が目に浮かぶようです。これら蓄音機は、数百人の会場でも堂々と音を奏でます。


 私の蓄音機の音を聴いた人は,誰もがその音質の素晴らしさと、豊かな音量にショックをかくしきれないようです。ただ古いものが動いているから良いというレベルではなく、本当に良い音楽を再生するからです。


 ラッパ型の蓄音機は、100年近い年月を経たものですが、その姿の優美さとともに、ラッパから出るカルーソの歌声はなんと豊かな響きを持っている事でしょう。まるで100年前にタイムスリップしたかのような瞬間です。そこでは、実際にカルーソが目の前で歌っているのです。古いものでも当時の姿を正しく再現するならば、とても良い音を鳴らすことが出来ます。本物の蓄音機の音に触れる事のない多くの人が、整備されない悪い状態の音を聴いてそれが蓄音機だと判断している事にとても残念な気持ちです。出来る限り私の蓄音機の音を多くの方に知っていただき蓄音機を再認識していただければ、とてもうれしく思います。
 





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